‥‥‥本展は、日本ではじめての本格的タンタン展で、立体物や映像、原画、刊行物、作者紹介等でタンタンの世界を総合的に紹介。ファンはもちろん、まだ物語を読んだことのない大人も子供も気軽に楽しめる内容となっている。‥‥
(2002.3.16 – 5.6 Bunkamura ザ・ミュージアム タンタンの冒険展)
今回のレポートは、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「タンタンの冒険」展です。皇太子夫妻も見に来られたようです。タンタン(Tintin)はエルジェ、すなわちジョルジュ・レミ(Georges Rémi)によって生み出されたキャラクタで、相棒のフォックステリア犬・スノーウィとともに世界を駆けめぐるマンガです。時代背景や世界観、風景、色彩、キャラクタの性格付けが見事で、原典はフランス語なのですが、日本語版の台詞の翻訳が絶妙です。
とは言っても、あらかじめの予備知識は是非読んで!と薦められた「かけた耳(L’oreille Cassée)」と、最近発刊された、タンタンファン垂涎のマニアック解説本「タンタンの冒険 その夢と現実」だけだったので、マニアックな内容が分かるかどうか…という感じだったのですが、全体的には各冒険の紹介がそれぞれブースに別れており、絵本の中に出てくるロケットや、サメ型の潜水艦、模型やエルジェの直筆原稿があって、興味深く見られました。最新刊は、仕掛かり中に作者が亡くなられた事もあって下書きのまま出版されています。日本語版の出版はいつになることやら?という事みたいですが、これは私も真っ先に是非見てみたいです。
しかし、もしかしたらタンタン全編を見たことのある人にとっては、時代背景や小物群が非常に練り込まれている原作に比べると、この企画展は意外と物足りない内容なのかも?と思ってしまいました。対象年齢の問題も大いにあるでしょうが、もっと本物志向で、作品と現実の時代背景の比較や、「かけた耳」で出てくる像の本物…出展可、もしくは存在すればの話ですが…があっても、良かったように思えます。あくまで架空の話と現実の話を比較するのはナンセンスでしょうが、その価値はあると思います。そういった意味で、前述の「タンタンの冒険 その夢と現実」がその辺を見事にカバーしていましたので、問題はないでしょう。値段がいささか高いですが。
さて、タンタンファンにはこのおなじみの赤と白のしましまロケットですが、公式サイトには1989年にフランス革命200年記念行事のひとつとして飛ばされたとありました。飛んでいる勇姿を是非見たいと思っているあなたのために、アマチュアのロケット野郎達の熱き思いによって、世界各国からこのタンタンのロケットは月に向かって飛ばされているようです。(ARGOS, NAVRO HOMEPAGE)
まだ2冊のタンタンの冒険しか読んでいないので、早く続きを読んでみたいところです。みなさん、単なる絵本とあなどるなかれ…。