ドイツ写真の現在展

Written by kamochan December 28th, 2005

2005.10.25 – 2005.12.18 東京国立近代美術館 にて開催された。

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……今回の展覧会は、そうした多彩な展開をみせるドイツ写真の現在を、「現実」に対して様々なアプローチを試みている10人の作家たちの仕事によって紹介するものです。それはまた彼らと同時代を生きる私達にとっても、かわりゆく「現実」と向かい合うための何らかの視点を見出す機会を与えてくれることとなるでしょう。……
(2005.10.25 – 2005.12.18 東京国立近代美術館)

本業が忙しくなってしまいました。自分の撮りたい写真も撮りに行く機会もままならないまま、チケットだけは手に入れていたので、会期ぎりぎりの国立近代美術館へ。これが今年の最後の展示巡りとなるでしょう。2005年は9回も行っていて驚きです。来年は六本木に作っている新しい国立美術館が出来る予定なのでこれまた楽しみです。

今日は土曜日なのでやはり人が多く賑わっていました。外国の美術館は行ったことがないのですが、もっと訪れる人が多いのかも知れないなあと思いつつ展示室へ。今回はドイツの作家、10人の写真が一挙に見られます。

まず最初に私好みの作風で目を惹いた、ベルント&ヒラ・ベッヒャー(Bernd & Hilla Becher) の作品。工場の建物を様々な角度から捉えたものです。イメージに反して静物画を感じさせるような厳かな写真です。隣の部屋にあるのもスケールが巨大で、文字通り圧倒される、アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky) の作品です。”Rhein II” は横3.5mの巨大なプリントで目の前に現実があるかのような錯覚を覚えます。パンフレットの裏面にも使われている、”São Paulo Sé” はオペラ劇場を惹起させるようでいて、実は良くある日常を非日常に捉えています。

私はどちらかというと人物よりか、風景写真が好きなのでそちらの方ばかり興味がそそられてしまうので、日本でも展示会が行われて比較的知名度の高い、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)の写真もそこそこにして、今回もっとも興味深かったのが、ハンス=クリスティアン・シンク(Hans-Christian Schink) の作品でした。

被写体となる建物や建築物は立派なのに、全くひとけを感じさせない写真で、見た目は中野正貴の “Tokyo Nobody” のような感じなのですが、ドイツの美しい自然と無視できない存在感の建物の対比が素晴らしいです。解説によるとメッセージ性の無いもののようで、それも私にとって良く感じられました。

ハイディ・シュペッカー(Heidi Specker) の作品も良くある写真ではあるのですが、デジタル加工がなされているということでした。デジタルカメラが登場し、加工することでよりよいイメージが創り出されることについては、普通の写真での現像によってイメージを創り出す技法と差はないと思うのですが、手を加えない写真と手を加えた写真の差、もはやプライド論になるのかもしれませんが、美の基準はどんどんパーソナルで細分化されたものになっていくのでしょう。

今回の展示は写真展なので、これといったインタラクティビティはありませんでしたが、ボリュームも程よく、内容も良い展示だったと思います。写真をデジタル加工する…というのがより日常的になってきた時代、時間と場所、光とレンズだけで唯一無二の最良のイメージを創り出す行為自体がもはや芸術のような気がします。私は写真で生計を立てることを目指しているわけではないのですが、「この写真を飾りたい!」と思われるようなものを撮っていきたいなと思って締めくくる2005年でありました。

#今回の展示は10人の作家が出展していましたが、それのフォローをしておきます。googleに引っかかることを期待して。
ベルント&ヒラ・ベッヒャー (Bernd & Hilla Becher) : ref. amazon.co.jp
ミヒャエル・シュミット (Michael Schmidt) : ref. wikipedia German
アンドレアス・グルスキー (Andreas Gursky) : ref. art photo site
トーマス・デマンド (Thomas Demand) : ref. art photo site
ヴォルフガング・ティルマンス (Wolfgang Tillmans) : ref. 東京オペラシティ展示会HP
ハンス=クリスティアン・シンク (Hans-Christian Schink) : ref. Galarie Rothamel
ハイディ・シュペッカー (Heidi Specker) : ref. official site
ロレッタ・ルックス (Loretta Lux) : ref. official site
ベアテ・グーチョウ (Beate Gütschow) : ref. artnet.com
リカルダ・ロッガン (Ricarda Roggan) : ref. official site

 

  • Photo: kamochan

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2015.04.11 – 2015.06.28 東京都現代美術館にて開催された。

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