…オロスコは、路上に打ち捨てられた物や何気ない風景の中から魅力的なかたちを発見したり、それらにほんの少し介入してかたちを変えたりして作品に転換します。日本庭園で石や砂を水の流れに見立てるのにも似た事物の新たな読み替えは、見る者にそれを読み解く楽しさを与えます。地域性や政治性を排除したユニバーサルな彫刻や、さりげないスナップショットのような写真は、90年代の現代美術を語る上で欠かせないものであり、現在活躍する日本の若手アーティストにも大きな影響を与えています。人工物でも自然物でもこの世の事物はすべて、これまで移動したりかたちを変えたりしてきた内なる時間を有しています。事物と事物とが時に交わり、また離れるといったことを繰り返し、宇宙の中で万物が流転し循環するその様をオロスコは捉えます。…
(2015.01.04 – 2015.05.10 東京都現代美術館)
…備忘録として…
・写真群から、不思議なオブジェまで、期待以上に楽しめました。
・代表作 “La DS” は自動車を貼り合わせたものですが、
現物を目の前にすると何とも言えない不思議な感覚を味わえます。
・娘は《ベンチレーター》がお気に入りでした。