アート・ミーツ・メディア-知覚の冒険展

Written by kamochan May 20th, 2005

2005.01.21 – 2005.03.21 NTTインターコミュニケーションセンターにて開催された。

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……本展覧会は基本的にメディア・アートへの入門編と位置付け、利用するメディアや表現の内容に着目した代表的で親しみやすい作品を選定し、キーワード解説、年表、ヴィデオなどを用いて、平易で分かり易い展示構成としています。併せて、入門者対象のワークショップや学芸員による作品解説ツアー、また、より専門的な考察を図るための、アーティストや有識者を招いたトーク、レクチャー、シンポジウムなど、多彩な関連イヴェントも用意され、メディア・アートへの親しみ度に応じた多角的なアプローチを試みます。……
(2005.01.21 – 2005.03.21 NTT/ICC アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険展)

恐らく2004年度に予定されている展示として、これが最後に見に行く展示となるでしょう。締めはいつものNTTインターコミュニケーションセンターです。メンバーシップ会員には展示前に案内が送られてきます。今回は入門編という事で、割と見た/体験したことのある物が多かったのですが、ブラスト・セオリー(Blast Theory)の展示が見てみたかったので、会期終了前に駆け込みということになりました。

今回は入門編と言うことで、以前、ICCに在った展示も戻ってきていて、心成しか、来場者はオシャレな若者が多かったように思えます。会場に着くと、グレゴリー・バーサミアン(Gregory Barsamian)の “ジャグラー” や、岩井俊雄の “メディア・テクノロジー-7つの記憶” が懐かしく感じられました。

思えば、最初ICCに訪れたのは、ICC開館1周年記念の “移動する聖地” 展でした。今から7年前です。今ではさほど驚かれない、全面立体3DCGの “CAVEの共同[形]成” にものすごい衝撃を受けました。今回も残念ながら展示されていないようなのですが、この作品はお気に入りでここに訪れる度に見ていました…。

さて、というわけで、階を上がった手前のギャラリー入ってすぐに、気になっていたブラスト・セオリーの作品群があります。恐らく本展示のウリであろう、”can you see me now?” はオンラインとリアルの世界をつなぐ鬼ごっこと言えば分かりやすいでしょうか。オンラインの参加者は架空の渋谷にアクセスし、リアルの渋谷を駆け回るアーティストから逃げるという、インタラクティブ・アートです。インターネットの一般的な普及無しには考えられなかった作品でしょう。自分が見つかった場所の写真がフィードバックされる仕組みが、オンラインでの参加者に興味をうまく惹きつけるものだと思います。

奥の部屋には、ラファエル・ロサノ=ヘメル(Rafael Lozano-Hemmer)の “frequency&volume” がありました。大きなスクリーンがあって、自分がその前を遮るとなにやらラジオの音声が。自分の影の位置が電波のアンテナとなり、影の大きさが音量調整。人数が多ければ多いほど、様々な音がミックスされるという分かりやすいものです。

緑の照明にポップなインテリアが印象的な “your kidney supermarket” は、シルパ・グプタ(Shilpa Gupta)のメッセージ性の高い作品。貧困な国の人々は肝臓を売ってお金に換える…様々な肝臓があります。お好みの物をどうぞ!というわけである。

そして、反対側のギャラリーへ。ダムタイプの池田亮司 “db” は私もかつて体感した衝撃作。無響室を使うため整理券が必要でしたがなんと2時間待ち!今回はパスしましたが、やはり休日に行くのであれば午前中が良いですね。同じく、前林明次の “AUDIBLE DISTANCE -視聴覚化された間-” も3人1組で行うため20分待ちくらいでした。これも経験済み…とまた妙な優越感に浸るのでした。

ICCのカタログによると「参加型インタラクティブ・アートはここから始まった」と解説されている、ジェフリー・ショー(Jeffrey Shaw) の “Legible City” は大型スクリーンの前に自転車が置いてあって、それを漕げばCGが動くという、まさに今のメディア・アートの基本形。当時のコンピュータの処理速度の問題でしょうか、建物ではなく文字で仮想の街が表現されています。

最後にゲープハルト・ゼングミュラー(Gebhard Sengmüller) の “Vinyl Video™” は、レコードにデジタルデータを書き込み、それをテレビで再生するという時代逆行型作品。今時はDVDに映画まで入ってしまうのに…。実際にレコードの針を置いた瞬間に、チープなイメージがテレビに映し出されるのはなんだか不思議です。これは実際にキットが発売されています、2000ユーロもしますけど。

今回の展示は、メディア・アート入門編ということでかなりライトな作品が多かったと思います。きっと「物足りない!」と思えば既に中級鑑賞者?への道は開かれているのかもしれません。現実的に考えて、それは無駄だ、とか、同じ事をするのに遠回りしすぎていると思えるモノ(しかもそれがやたらに作り込まれていたりする)が、メディア・アートの素質を備えているのだと思います。私は作れませんけど、こんなのはどうでしょう。糸電話のインタフェイスだけど、糸の部分はTCP/IP化されて、パケット情報がリアルタイムでモニタで見られる…単純な「声」や「音」が膨大な「情報」に変換される様を鑑賞する。なんてのがあったら面白いのではないかなーと思います。

#一番子供に人気があったのは、ジェフリー・ショーのものです。インターフェイスが自転車だからなんでしょうけど…。そして、エントランス横にあるメッセージボードが思わず笑ってしまいました。必ず連ドラが書いてあるものなのですね…やはり美大生多し?

 

  • Photo: kamochan

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2015.04.11 – 2015.06.28 東京都現代美術館にて開催された。

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