ガウディ-かたちの探求展

Written by kamochan November 10th, 2003

2003.10.4 – 12.14 東京都現代美術館にて開催された。

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……ガウディがその生涯をかけて研究と努力を重ね、ようやく獲得した独特の建築造形。その一見複雑にして難解、そして装飾的に思える形のうちに、実は、素材を生かし現実的に機能する、幾何学を基礎とした構造が介在していたことが、近年のコンピュータ技術の発展の力を借りて具体的に解き明かされるようになってきました。ガウディの天才とは、まさにこの自由なかたちの発想とそれを裏付ける論理的な思考の結びつきにこそあったのです。……
(2003.10.4 – 12.14 東京都現代美術館)

今年は12月まで見たい展示がめじろ押しです。今回の展示は趣を変えて、かの有名な、ガウディの展示を見に行くことにしました。東京都現代美術館(MOT)は江東区にあり、最寄りのどの駅からも歩くと割と遠いのが難点。1時間300円の駐車場も完備されているので、閉館前を狙って車で出発です。

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí i Cornet) と聞けば、建築を志す人であればもちろんのこと、そうでなくても誰もが宗教的で複雑な外観の建築物を思い浮かべる事でしょう。あのサグラダ・ファミリア贖罪聖堂(El Temple de La Sagrada Familia)を彷彿とさせるアーチをくぐり抜けて、展示室となります。

この展示室では、まずガウディのプロフィールや、生い立ちと年譜、作品では、素描画、建築物の図面、模型、家具が展示されていました。サグラダ・ファミリア紹介の簡単なビデオの上映もされています。
驚きなのは、素描画と図面です。特に、建築学校時代の卒業設計の「大学講堂(University Hall Paranymph)」ですが、恐ろしいほど精密で緻密な世界が紙の上に展開されています。彫刻や人間、家具などが書き込まれていて、さらにグアッシュで色づけがなされており、一つの世界として成り立つ平面的な箱庭のようです、うーむ素晴らしい…。こういう「芸の細かい」絵やモノって日本人が好きな感覚だと思います。

展示は地下1階の方にもあります。エスカレーターで降りると、実寸で設計された天井ヴォールトの解体レプリカや、サグラダ・ファミリア聖堂仮説学校の壁面のレプリカがあります。多数のモニタには、ガウディの手がけた主要な建築物の紹介映像が流れています。

これは素晴らしいと思ったのが、3D映像による、ガウディ建築物に使われている建築の一部分の解析です。正確な幾何学パターンが表れ、それが立体となり、出っ張った部分を切り取る。また同じ法則に従って、三角形を切り取っていくと…それが窓となり、実際の建物の写真と重なるというものです。また、釣ってある鎖の数カ所におもりを付けて丸みを付け、それをいくつか作り、下を見てみると、そこは鏡になっていて、完璧なアーチが見えています。これが実際の建物の構造の安全性のシュミレーションとなっていました。
「なるほど…」とか「ははー…」など、見ている人からはそういう声が聞こえてくるのですが、自分も同じで、そんな納得のため息を付きながら展示を見て回りました。一見、教会のゴシック調の外観と、過剰なまでに隙間が埋め尽くされた装飾、まっすぐな面を探すのが難しい建物。これらは全て計算され尽くした上での設計であったとは…。私は基本的に、ガウディのような装飾がかった建築はいまいち好きになれないのですが、その造形の考え方・仕方には、とても納得しました。

最後にガウディの言葉で展示が締めくくられていました。「私はすべてを計算する。こうして必然性から導かれた論理的な形態が生まれる。私は総合者を意味する幾何学者である。」 うはーかっこいいですね。

さすがに建築を持ってくるのは不可能ですので、点数は限られてしまっていたところが物足りないですが、展示の価格が1200円することを除けば、とても良い展示だと思います。しかし、カサ・ミラ(Casa Milá)に住みたいかと言われると…私は無理です…。

※アントニオ・ガウディとも言われている人ですが、どっちの呼び名も正解なんでしょうか。私が小学生だった頃は、サグラダ・ファミリアを、「桜田ファミリア」だと思い込み、へぇー外国にも日本の名前が付いてる建物があるんだなあと変に納得していました。しかも、サクラダではなく、サラダでございました…。そのサグラダ・ファミリアですが、1882年に起工し、現在も未だ建設中ですが、完成のメドが立ってきたらしく、それは2022年あたりになるということだそうです。

 

  • Photo: kamochan

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